平成27年度「美須々ヶ丘セミナー」開催!
本校では同窓会・PTAのご支援のもと美須々ケ丘セミナーと称し、生徒の学力向上・職業観や進路意識の醸成・会員の教養向上を目的に各種行事を行っております。その一つとして平成27年11月27日にキッセイ文化ホール大ホールにて講演会及びパネルディスカッションを行いました。テーマは「高校生の自治を考える」ということで、戦後70年の節目及び選挙権年齢が18歳以上になるなど政治・社会が変動する中、高校生の自立・自治について考える機会としました。
(以下はセミナーの主な内容です)
第1部 講演会
演題:「教科書から時代を考える」
~ひとりの人間としての自立にむけて~
講師:斉藤金司 氏 (松本市教育委員)
〈はじめに〉
今年は国を挙げて安保法案などについて議論が沸騰しました。特に、憲法とは何だろうと考えた時, 我が国の安全安心のため一番大事なこととして守られなければならない 「大儀」たり得る、と考えました。「戦後70年」という今年は、戦後にあって一番大きな曲がり角だった年であり、来年は18歳から選挙権が行使されます。特に若者には時代を判断する力・時代を切り開く力をつけて欲しいと強く思います。そのようなことに関わってのヒントとなりうることを「国語の教科書」を題材にしてお話しします。
①筑摩書房と国語の教科書
長野県には岩波書店、筑摩書房などを創業した多くの出版人がいる。筑摩書房の臼井吉見は、柳田國男からの教示を得て「かつて口を揃えてただ一つの合言葉だけを言い続けていたのは、これ以外の考え方言い方を修練する機会を与えられなかったからだ」と国語教育の重要さに気付いた。1959年、次代を担う若者の知性と教養を高めるのに相応しい力を養うため良質の文章を「教材」という枠にとどまることなく提供したい、との思いで教科書を作った。
②教科書の語る戦後
藤村詩集の序(一部)・・・
「生命は力なり。力は声なり。声は言葉なり。新しき言葉はすなわち新しき生涯なり。」
金子光晴詩集・・・
「湖畔吟」「富士」の詩を例に反戦・抵抗の姿勢を貫こうとする生き方を読み取る。
③大江健三郎の場合・・・
「ヒロシマ・ノート」 威厳・屈辱・恥という言葉は、自分のモラルの世界のもっとも基本的な用語である。
④シーシュポスの神話(カミュ)・・・
人はいずれ死んで全て水泡に帰すことを承知しているが、それでも生き続ける不条理。
〈おわりに〉
世界には過酷な状況の中で生きざるを得ない子どもたちが大勢いる。例えばあなたがラーメンを食べているとき、その子たちの事を考え思いを寄せる「想像力」を働かせることによって、人が人を思い繋がっていくきっかけとなるだろう。視野を世界や歴史に広げ、想像力を働かせ何ができるか考え行動することで、あなたの世界も広がっていくのだろう。
第2部 パネルディスカッション
DVD 「自由の約束2015」
(美須々ケ丘高校憲法制定の記録) 視聴
パネラー(敬称略)
・同窓生/
小林磨史(進行:同窓会副会長 S48卒)
祖父江信一(本校教諭 S59卒)
金箱 彰(憲法制定当時の生徒会長 H9卒)
久保田 出 (憲法制定当時の生徒会副会長 H9卒)
・在校生/生徒会役員
・講師/斉藤金司
美須々ケ丘高校憲法制定当時に生徒会の役員として活躍した同窓生を中心に、現役の生徒会役員を交えてパネルディスカッションが行われ、憲法制定当時の生徒会役員の方々の苦労話に現役生も真剣に聞き入っていました。最後に、「憲法制定の背景を理解し、培われてきた美須々の良さをこれからの活動に活かし、新たな歴史を作って欲しい。」 と 先輩の方々からのお話がありました。